【クラミノ×Ωバース】Let “ass” alone.

牧物(つな天)にオメガバース設定を持ち込んだクラミノ小説です。
BL・妊娠要素、強い差別表現はありませんが、特殊設定が前提の、若干変態寄りなR-18小説です。
ふたなり(一言二言)、ソフトSM、男性受(基本は女性受)などの表現が含まれます。
作中でオメガバースについての詳しい説明はしておりません。

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Let “ass” alone.

 
 
 春の始めに結婚式を挙げ、法的にも正式な夫婦となったミノリとクラウス。とは言え、二人が番ってから既に一年以上経っており、恋人として同棲していることは町の誰もが知っていたため、「ようやく籍を入れたか」程度の反応であった。事実、彼らの日常に何ら変化はない。
 それでも「蜜月(ハネムーン)」だけは、しっかり満喫しており。
「んっ……クラウス、そろそろ起きないと……。仕事に遅れちゃいますよ……?」
「分かってる。はあ……夜までお預けだなんて、酷だな……」
「あ……ん、もう……っ。ほら、着替えてください」
 クラウスは裸のまま、足元に転がっていた寝間着を取って渋々ベッドから降りると、シャワーを浴びるために浴室へと向かった。朝も早くから二人が布団の中で何をしていたかは、ご想像にお任せしよう。
 熱いシャワーで目を覚ました彼が、下着一丁で歯を磨き始めた頃、今度はネグリジェ姿のミノリが、入れ替わりに浴室へと入っていく。彼女は半透明の扉の向こうで服を脱ぎ、同じく温水の蛇口を捻った。
 すぐ傍らにぼんやり透けて見える柔らかな身体の線を眺めつつ、思わず頬を緩めるクラウス。
「ミノリ」
 何気なく名前を呼んでみれば、「なんですか?」と艶めかしくエコーの掛かった声が返ってくる。ニヤけた顔で「何でもない」などと返しつつ、クラウスは口をすすいだ。本人にも、浮かれきっている自覚はあった。
 
 
 そんな彼への罰か、はたまたご褒美か。
 その日の夜。まだ発情期でもないのに、ベッドタイムが訪れるや否や可愛い妻を性急に寝所へ押し倒したクラウスは、ふと、ナイトテーブルの上に見慣れぬ小包を見つけ、動きを止める。宅配便の伝票が付いているところを見るに、おそらく通販で購入した品なのだろう。
「あの包みは、何だ?」
 何気なく尋ねると、ミノリは一瞬で耳まで真っ赤になって、もごもご口籠った。そっと包みを手に取った彼女は、外装を解きながら言い難そうに切り出す。
「えっ、と……。通販で頼んだもの、なんですけど……」
 それは見れば分かる。気になるのは中身だ。しかし置いてあった場所と彼女の反応から、クラウスは「色っぽい物」なのではと予想し、期待を胸に続きを待った。
 が、中から出てきたのは、確かに「色っぽい物」ではあったものの、予想外の物体で。「それ」を目にした瞬間、彼の顔は、さあっと青ざめた。
「あー……。これは……『挿入用の補助器具』か……?」
「……はい」
 ミノリが手にしていたのは、腰に装着するためのベルトが付いた、リアルな陰茎型の器具だった。嫌な予感がしたクラウスは、「ハハ……」と乾いた笑いを零しつつ尋ねる。
「それを、オレが付けるのか……?」
「いえ、その……。わたしが付ける用に、買ってみたんですけど……」
 だよな、と、クラウスは心の内で相槌を打った。
「お前がそんなものを買うなんて、意外だな……。もしかして『挿れる側』のほうが良かったのか……?」
「ちっ、違うんです!」
 相変わらず上気した顔で、ぶんぶん首を振るミノリ。彼女は「それ」を購入した理由について、たどたどしく説明を始める。
「そっ……その……、クラウスって、Ω性じゃないですか……?」
「ああ。そうだな」
「それで……Ω性の男の人は、普通『お尻』を使うって……最近知ったんです」
 大方そんなことだろうとは思っていたクラウスだが、それを解っていて、あえて「ちょっと待て」と彼女の発言に割り込んだ。
「確かに、『普通』はそうかもしれないが……そもそもオレたちは、体格も性格も『普通』とは少し違うだろう? オレたちなりに良い『やり方』があるなら、そんなもの気にしなくていいと思うんだが……違うか?」
「違わない」以外の返答を認めない言い様である。当然ながら、ミノリもそのように答えた。しかし、こうも続ける。
「……でも、『お尻のほうが快い』って聞いたので……。わたしも、クラウスに気持ちよくなって欲しいですし……」
 どうやら、彼女は完全に善意のつもりでいるらしい。若干、焦り始めるクラウス。
「心遣いは、嬉しいが……オレは、どちらかというと挿れる側のほうが……」
 言葉を濁してやんわり拒否してみれば、ミノリはすぐに解ってくれたものの、同時に、しゅんと俯いてしまった。
「そうですか……ごめんなさい。相談もしないで、余計なものを買ってしまって……」
「いや……」
 彼女の言葉と態度が、チクチクとクラウスの胸を刺す。その罪悪感に耐え切れなかった彼は、悩みに悩んだ末、意を決して頷いた。
「……一回だけ、試してみようか」
 
 
 トイレで「下準備」を済ませたクラウスは、些か緊張しつつ、つがい相手の待つベッドへと戻る。三十余年守り抜いた「後ろの童貞」を、まさか十以上年下の妻相手に失うことになるとは、思ってもみなかった。「前が使い物になるのだから、わざわざ痛い思いをしてまで後ろを犯されたくはない」というのが本音であったが、強く断れなかったのは、おそらく同じ思いを抱いていたであろうパートナーに対して、半ば騙すような形で、その場所の開発を進めてしまった経緯があるからだ。「自分は嫌だ」とは、さすがに言い難かった。
 ベッドの上に裸でちょこんと座るミノリの下腹部には、可愛らしい顔に似合わぬ立派な一物が、既にそそり立っている。クラウスは額に冷たい汗を浮かべ、思わずごくりと固唾を飲んだ。
「初心者向けにしては、少し大きすぎないか……?」
「えっ……でも、これ、小さめらしいですよ……?」
 確かに、言われてみれば自分の一物よりも小さい気はする。しかし、それは経験者にとっての話であって、やはり初心者には大きすぎるだろう、と肩を落とすクラウスだった。なけなしのプライドを死守し、黙ってはいたが。
「……そうか。……まあ、挿れる前に解せば大丈夫か……」
「はいっ。ちゃんと、いつもクラウスがしてくれるみたいにしますから……」
 そう言うとミノリは、自分の指先に、しっかりとワセリンを塗り始める。その若干おぼつかない手付きが、更にクラウスの不安を煽った。彼は改めて、いつも受け側として己の無体にも文句を言わず身を委ねてくれるつがい相手へ、感謝と尊敬の念を抱いた。
「それじゃ、あの……俯せになってもらえますか……?」
 ミノリから少し申し訳なさげに促され、クラウスはやむなくシーツへ体を伏せる。すると、間髪入れずに下着が擦り下された。心の準備も何もあったものでない手の速さに、彼が肩越しに振り返って「いきなり脱がすのか」などと突っ込もうとした矢先、今度は肛門の辺りに、ぬるりとした感触が。彼の顔は、かあっと上気し、背筋に快感の震えが走った。
「……っ!」
 悲しいかなΩ男性の性で、どんなに不本意であっても、行為に際して多少なりとも興奮すれば「そこ」は自然と濡れてしまうらしい。
「ワセリンは、いらなかったでしょうか……」
 パートナーの、そんな邪気のない台詞が、心に刺さる。クラウスが「もうどうにでもしてくれ」という気分になりかけていると、本当に何の前段もなく、彼の直腸に細い指が侵入してきた。あまりにも自然に入り込んだため、すぐにはその存在を認識できず、ただ入り口に微妙な違和感のみを覚えて、クラウスは頭に「?」を浮かべる。しかし一瞬置いて、内臓にじわりと熱を感じた。
「……入った、のか……?」
「はい。指が、一本だけ……です、けど」
 そう言ってミノリは、彼の中で人差し指の先端をぴこぴこ動かした。途端に、クラウスが苦しげに眉を顰める。
「……っ……!」
 辛うじて声を押し殺し、代わりに、はー、はーと深く長い息を吐いた。
「あ、の……痛かった、ですか……?」
 おずおずと尋ねるミノリに対して、クラウスは「いや、大丈夫だ」と尚も強がる。実際、痛くはなかったものの、快とも不快とも判別し難い、未知の感覚に襲われていた。が、その感覚に慣れる前に、早くも二本目の指――中指が追加される。さすがに多少の痛みを覚えた彼は、「ぅっ」と小さな声を上げた。
「ミノリ、ちょっと待ってくれ。もう少し慣らしてから――」
 言うが早いか、ゆっくりと指を出し入れし始めるミノリ。クラウスの背筋が、ぞわぞわと粟立った。
「慣らすって、こんな感じでしょうか……?」
 思いの外冷静に、ミノリが訪ねてくる。しかし、受け手側に返事をする余裕はなく。ただ、汗の滲む手でぎゅっとシーツを掴んで、違和感に耐えた。
 しばらくそうしていると、ようやく内部への刺激にも慣れ。却って早く終わらせて欲しいと願い始めたクラウスは、覚悟を決めて「もう、入れていいから」と呟いた。それを受けたミノリは、ごくんと唾を飲み下して一つ頷くと、紛い物の茎の先端を、クラウスの後孔に宛がう。
 そして、ゆっくりと、しかし躊躇なく、それを押し込んだ。
 クラウスは歯を食いしばり、目じりに涙を浮かべつつ「もう少し遠慮してくれても」と思ったが、普段は自分が同じことをしているだけに、文句の一つも言うことはできない。「せめて発情期であれば、もう少しマシな気分だったかもしれないのに」などと、思考を仮定に逃すのがやっとだった。
「っは……あ……」
 堪らず声を漏らせば、冷や汗の浮かぶ肩に、ひた、と温かい掌が載せられる。
「……大丈夫、ですか……?」
 耳元で囁かれ、黙って頷くクラウス。僅かに濃くなった幽香に鼻をくすぐられ、徐々に脳が蕩けてくる。同時に、下腹部への違和感も、少しずつ快感へと変わりつつあった。
 それを察してか否か、ミノリがゆるゆると腰を動かし始める。動かしながら、自身の歯形が残るクラウスのうなじへ、労わるように口付けた。
 そうして少しの間、律動的な動きを繰り返していた二人だったが、ふと、クラウスが息継ぎの合間に言葉を発する。
「……ミノリは……っ、……これだと、お前が愉しめないんじゃないか……?」
 ぴた、と動きを止めるミノリ。ほっと息を吐くクラウスだったが、それも一瞬のことで、すぐさま身体が意思に反し、続きを欲して疼き始めた。彼の自認の外で僅かに揺れる腰を、つがいのフェロモンに中てられたミノリが、ぼやけ始めた頭で眺めつつ、薄く微笑む。
「……大丈夫、です。……これ……二人で気持ちよくなれる機能が、ついてるんですよ」
 熱い吐息混じりにそう言うと、彼女はベルトに付帯していたスライドスイッチに手をかけ、適当なところまで一気に押し上げた。
 瞬間、二人の敏感な部分を、同時に襲う強振動。
 クラウスの記憶は、ここで途切れた。
 
 
 
 
 翌朝。
「……いきなり『あれ』は、ないだろう……」
 クラウスはヒリヒリと僅かに痛む尻穴を下着越しにさすりながら、ベッドの傍に立つミノリを恨めしげに見上げた。文句を言われた側は、素直に「ごめんなさい」と謝る。内心「前後不覚になるくらい気持ちよさそうだったのに」と思ったが、どうやら相手は昨夜の痴態をよく覚えていないようだったので、黙っていた。美しき互助の精神である。
「……でも、快かったですか……?」
「いや。やはり、オレはいつも通り、抱く側のほうがいい」
 キッパリと言い放つクラウス。ミノリは苦笑しつつ、そっと「挿入用の補助器具」を箱に戻した。
「それより……」
 言いかけて、クラウスは彼女の腕を強かに引き、ベッドの上へ抱き寄せる。そして、小さな耳殻を甘噛みしてから、そこに熱い息を吹きかけ、悪戯っぽい声音で低く囁いた。
「今夜は、覚悟しておけよ。オレにしてくれたのと同じように可愛がってやるからな」
 ミノリの背筋に、ぞくりと甘い痺れが走った。