【クラミノ×Ωバース】真夜中のお散歩

牧物(つな天)にオメガバース設定を持ち込んだクラミノ小説です。
BL・妊娠要素、強い差別表現はありませんが、特殊設定が前提の、若干変態寄りなR-18小説です。
ふたなり(一言二言)、ソフトSM、男性受(基本は女性受)などの表現が含まれます。
作中でオメガバースについての詳しい説明はしておりません。

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真夜中のお散歩

 
 
(こんなつもりじゃ、なかったんだがな……)
 発情中のクラウスは息を荒らげつつも、着衣したまま、傍らからぼんやりとベッドの上を見下ろした。しっかり防水シーツが敷かれたそこには、最愛のつがい相手――ミノリの姿。そして彼の右手には、太い物と細い物、二本の棒状の物体。左手には、茶色いふさふさの尻尾が付いた、小振りな梨型の器具。
 白く滑らかな臀部をクラウスに向かって突き出す格好でベッドに俯せた彼女は、可愛らしいピンクの全身拘束具を身に着け、ヘッドボードに首輪で繋がれ、手枷足枷を嵌められ、アイマスクで目隠しされ、ボール型の口枷を嵌められ、さらには微振動する玩具に両乳首と女陰茎を責められている真っ最中であった。
「んっ……ん……んぅ……」
 くぐもった声で艶めかしく囀るミノリを前にして、クラウスは額を抑えて俯き、「はあ……」と熱く湿った溜息を吐く。そして、今一度思った。
(こんなつもりじゃ……)
 
 
「そんなつもり」はなかったとしても、こうなってしまった原因は、間違いなく彼にあった。
 発情期のΩのフェロモンに中てられたミノリから一晩中体を求められ、消耗しきってしまったクラウスは、「自分はできる限り体力を使わず、彼女の性欲を発散させる方法」として、二人の夜の営みに、初心者向けの「玩具」を導入した。それによって、毎回ミノリが先に限界を迎えるよう、クラウスの側でコントロールできるようになった――ところまでは、良かったのだが。
 ミノリの反応が良いことで増長し、以後、あれこれと新しい「道具」を試してしまったのが悪かった。
 あまつさえ、興味の赴くままに彼女の「後ろの穴」まで開発してみた結果、今度は相手のほうから、別な「おねだり」をされるようになってしまう。
 あくまで遠回しに「もっと焦らして、虐めて、気持ち良くして欲しい」と。
 元々、「ミノリがよがる姿をもっと見たい」という軽い気持ちで、欲に飽かせてあれこれ手を出し始めたクラウスであったが、今や完全にミノリに手綱を握られ、彼女を痛め付けることこそしなかったものの、自分でもドン引くような「プレイ」を嗜むようになってしまった。それを、全く「嫌」と思えないこともまた、彼の葛藤の一つであった。
 
 
(これでは、まるで変態じゃないか……。いや、)
 この状況は体質に踊らされた結果であり、決して己の意思ではない故、自分は変態でない、と未だに往生際悪く、誰にともなく言い訳しているクラウス。しかし、少なくとも片足程度は確実に突っ込んでいるという自覚があった。
 彼は左膝をベッドに乗り上げ、ミノリの尻をそろりと撫で上げる。そして彼女の耳元へ顔を近付けると、低く囁いた。
「そろそろ、一時間になるな。……楽しめたか?」
 ミノリが「んっ、んん……っ!」と、意味を成さない音を漏らす。クラウスは黙って、彼女の目隠しを外してやる。すると黒い布の下から、涙で潤んだ双眸があらわれた。火照った身体から発せられる甘い芳香と、物欲しげなその表情に発情を煽られたクラウスは、思わずごくりと固唾を飲む。
「こんなに涎も垂らして……『全然足りない』って顔だな。ここも、何もしていないのにトロトロだ」
 そう言つつ、彼はミノリの花弁の隙間へ何の前触れもなく二本指を挿入すると、くちゅくちゅ掻き回した。
「んっ……! ふ……んっ……」
「これなら、すぐに挿れても問題なさそうだな」
 そして急くようにズボンのベルトを外し、チャックを下す。クラウスは「ふーっ、ふーっ」と鼻で息を継ぎながら、僅かに震える手で、しかし手際良く避妊具を付け終えると、ミノリの中へ乱暴に押し入った。それでも、すっかり熟して彼の形になっている「そこ」は、すんなりと侵入者を迎え入れる。一番欲しいものを「おあずけ」され、たっぷり焦らされていた彼女は、心底嬉しそうに「んんっ……! んっ……!」と高く鳴いた。
 一時間もお預けされていたのは、クラウスも同様で。挿入と共に理性の箍が外れた彼は、ミノリを後ろから激しく突き立てる。そして二人は、あっという間に最初の絶頂を迎えた。
 
 
 一旦性欲を発散して我に返ると、クラウスはすぐさま次の行動に移る。まだパートナーはぐったりしていたものの、気遣って甘やかしたい気持ちをぐっと抑え、間髪入れずに行為を継続したほうが、より早く彼女を満足させることができるのだ。
 クラウスはミノリの頬を、初めに手にしていたふさふさの尻尾で撫でる。と、彼女はボールに開いた穴の隙間から細い吐息を漏らしつつ、くすぐったそうに瞼を閉じた。
「……ほら。これを付けて、お前の好きな『散歩』に連れて行ってやるから」
「……ん……」
 およそ承諾の返事らしくない音が返る。しかし最初から答えを期待していなかったのか、クラウスは構わず、梨型のプラグ部分にたっぷりとワセリンを塗布した。そして今度はその先端部分で、ミノリの「後ろの穴」の入り口を、ちょんちょんと突く。
 それが合図でもあったのか、そこから一気に、彼女の直腸へとプラグを押し込んだ。
「んぐっ……う……!!」
 一つ、苦しげに呻くミノリ。が、すぐに余韻に浸って、甘い声を漏らし始める。
「……っふ……ぅ……んっ……」
「『こっち』を使われるのも、すっかり慣れっこになっちまったな」
 クラウスは手際良く、彼女の手枷、足枷を外していった。振動を与える玩具はそのままで、最後に口枷も外してやる。息苦しさから解放され、「はあ……」と濡れた吐息を零したミノリの口元、そして胸元を、クラウスがハンカチで優しく丁寧に拭き上げた。
「ほら、綺麗になったぞ」
「……ありがと……っ……ございま……」
 口では礼を言いつつ、尚も蕩けた瞳で切なげにクラウスを見上げるミノリ。彼女はよろりと上体を前に倒し、クラウスの肩に頭を預けると、恥ずかしげもなく、すんすんと彼の首筋を匂った。
「……っ……は……あ……」
 Ω性の発情に誘われて放出された、ミノリ濃厚なフェロモンが、クラウスの脳も侵していく。しかし、思春期を迎えてこの方、己の発情期に苦しめられ続けていた彼は、自身の性欲をコントロール術にも長けていた。体の反応は止められなくとも、理性だけはギリギリまで失わないよう、意識をミノリに集中させる。
「……そうしていると、まるで本物の犬みたいだな」
「いぬ、で……いい……です」
 その先は口にしなかったものの、「だから、早くちょうだい」と、ミノリが視線でねだった。クラウスはそれを無視して、ヘッドボードに縛り付けていたリードの先端を解き、手に取る。
「おいで。外で『する』ほうが、快いだろう?」
 赤い頬をさらに赤らめ、こくん、と頷くミノリ。果たして、どこまで思考力が残っているのやら。クラウスは苦笑しつつ、リードを軽く引っ張った。
 そのまま、玄関先へと移動する二人。
 クラウスのコートを羽織らされたミノリは、うっとりとした表情で、その匂いをくんくん嗅ぐ。そして、幸せそうに溜息を吐いた。
「……いいにおい……」
 彼女がクラウスの匂いを嗅ぎ回るのは発情期のお約束なので、コートの持ち主はあまり気に留めない。というより、己の性欲が再び鎌首をもたげ始めたことを察知し、そんな愛らしく妖艶なミノリを、あえて見ないよう努めていた。クラウスは黙って彼女の下半身に手を伸ばすと、すぐに尻尾を探り当て、毛の中に埋もれていたスイッチボタンを押す。
「っああ……っ!!」
 同時に、ミノリが大きめの声を上げ、ぎゅっとクラウスにしがみついた。どうやら一瞬で達してしまったらしく、彼女の小さな身体が、ビクビクと小刻みに痙攣する。その様相と熱い体温、シャツ越しにも伝わる豊かな胸の感触に、クラウスの背筋はぞくりと震え、彼の分身にも熱が移った。が、それでも彼は、すぐに理性を立て直す。
「ああぁ……ん! んぅ……っ!」
「……さて、行こうか。大人しく歩けたら、後でご褒美だぞ」
「ご褒美」という言葉に反応し、きゅっと下唇を噛むミノリ。クラウスはリードを引いて彼女を少し上向かせると、その額へそっとキスを落とした。
 
 
 晩夏の夜の程よく冷えた空気が、火照った体に心地良い。満天の星空の下、夜露の香り漂う牧場地を、二人は寄り添って歩く。
 これが普通のデートであれば、ただただロマンチックであったのだが、残念ながらと言うべきか、喜ばしいことにと評するべきか――今は「お散歩中」である。首輪をはめているミノリは、ボタンを外したままのコートの前立てを合わせて握りしめつつ、クラウスの腕をぎゅっと掴んだ。普段のブーツでなく、桃色のベルト付きパンプスを履いた彼女の足は、小鹿のように震えている。頼られている感があって若干の嬉しさを感じたクラウスは、思わず口元を緩めた。
「……大丈夫か?」
 尋ねてみれば、小刻みな呼吸の合間から「はい」と返事が戻る。
 ぴったりとくっついたミノリの体が、時折、微かに痙攣すると、その微細な振動がクラウスへ伝わった。その度、彼は「また達したか」とほくそ笑んで、興奮を高める。
 玄関先から牧場の入り口まで続く石畳の上を、ゆっくりと歩ききった二人は、やがて馬小屋へ到着した。一応、公共の建造物であるが、高原まで馬で来る者は滅多にいないため、ほぼミノリの所有物になっている。当然ながら、夜も更けた今の時分に人影はない。
 ここへきてようやくクラウスは歩を止め、ミノリの頭を優しく撫でてやった。その手でそっと頬をくすぐり、顎を持ち上げると、彼女の唇を自身の口で塞ぐ。暫しの間、淫靡な音を立てて舌を絡め合い、唾液を交換し合うつがいたち。やっと顔を離したクラウスは、ミノリの濡れた口元を親指で拭いながら、低い声で語りかけた。
「……よく頑張ったな。約束通り、まだ『欲しければ』続きをするが……どうする?」
 馬小屋の街灯に照らされ、クラウスの鋭い双眸が光る。向かい合うミノリは少し目を逸らし、下半身をもじもじ揺らしながら「……ほしい、です……」と、蚊の鳴くような声で答えた。答えるや否や、彼女はクラウスによってすぐさま壁に手を付かされ、尻を突き出した格好になる。
 ミノリが着ているコートの邪魔な裾を脇へ流したクラウスは、「尻尾は……このままでいいか」と呟いた。そして、彼女の秘所の潤いを確認する。予想はしていたが、透明な露が腿を伝って流れ落ちるほど、そこはたっぷりと濡れていた。
「……すごいな」
 思わず声に出すクラウス。ミノリは恥ずかしかったのか、俯いたまま、黙って首を横に振った。
 準備は既に万端、焦らすだけ時間の無駄と見るや、クラウスはすぐさま態勢を整え、自身の一物をミノリの入り口に宛がう。そして、手馴れた様子でそれを押し込んだ。
「……っあ……!」
 待ちに待った「ご褒美」を貰った愛玩犬が、ごく控えめに鳴く。一応、野外であることを気にしているらしい。しかしクラウスは、そんな彼女の中をお構いなしに蹂躙した。最奥の敏感な部分目がけて腰を打ち付ければ、ミノリは抑えようと努力しつつも、しどけない声を漏らす。
「っあ……ん……っ、んっ……! あぁっ……!」
 その様が可愛らしくて、つい、激しさを増してしまうクラウス。無論、こんなところを誰かに見られたら面倒なことになるのは、重々承知の上である。それでも欲望に勝てないのは、既に理性の一部が消し飛んでしまっているためだ。如何に「らしくない」とは言え、彼もΩ性である。一旦、激しく発情してしまえば、他者の体を求める欲求は止まらなかった。
「ミノリ……っ、好きだ……!」
 興奮も最高潮に達したクラウスは、「はあ、はあ」と荒い息の合間に告白する。しかし、同じく性欲に脳を侵されているミノリに、それを聞いている余裕はない。ただ音として捉えつつ、享楽に溺れていた。
 
 
 帰りは行き以上に、ミノリにとって甘くつらいものだった。
 なぜなら、その場で「もう一回」とねだった結果、先刻まで相手が挿入っていたその場所に、持ち手のない型の、うねうねと動く張り型を押し込まれてしまったからだ。そんな彼女は行きと同じくクラウスにしがみつき、彼の香りを嗅ぎながら幾度も絶頂の波に飲まれ、恍惚とした表情を浮かべている。
 クラウスはクラウスで、帰ったら即、良い子で歩ききったパートナーから二度目の「ご褒美」を要求されるであろうことを察知しており、それまでは手を出せない葛藤を抱え。ミノリの艶めかしい喘ぎを聴きつつ、再び溜まり始めた己が熱と闘っていた。
 そんな複雑な現状に対し、クラウスは「こんなはずじゃなかった」などと、心の内でぼやくのだった。